総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、高齢者世帯のうち借家暮らしは33.5%と出ています。
この数字は、過去25年間をさかのぼってみても33~35%で推移しています。
この統計資料が示すとおりなら、今でも老後に家を持たない人は一定数いることが分かります。
それでは、老後に家を持たないことのメリット、デメリットは何でしょうか?
老後に家を持たない場合の3つのメリツト
老後に家を持たないメリツトは、その人の暮らしぶりにもよります。
つまり、
- どこで暮らすのか
- 一人で暮らすのか
- 家族と一緒なのか
によっても違いは出てきます。
大まかに述べると「家を買わない場合」には次のようなメリットが考えられます。
① 状況に応じて住み替えができる
老後になっても家を持たずに賃貸にするメリットは、その暮らしぶりやライフスタイルによっていつでも好きなときに住み替えがしやすいことにあります。
たとえば、近い将来に次のようなことを計画している人にとっては、賃貸は便利であり有利です。
- 老齢後の介護施設への入居を決めている
- 実家の不動産を相続する予定がありいずれそちらの住居へ引っ越す
- 賃貸の近くに通院する病院がある
- あらたな移住先を考えており準備中
逆に言えばこのような計画がないのであれば、持ち家を持つ方がよいかもしれません。
② 税金など余計な経費がかからない
賃貸では固定資産税などの税金の他に、住居のメンテナンス費用など余計な経費がかかりません。
また、風雨災害などで住居が被災した場合など修繕費がかかりません。
ちなみに、賃貸だとかからない余計な経費には次のようなものがあります。
- 不動産所有に係る固定資産税
- 住居の老朽や自然災害による修繕費
- 火災保険料(動産を除く。)
③ 収支に合わせて住居費をコントロールできる
老後の生活は年金が頼りです。
無駄な経費は、できるだけ省きたいものです。
持ち家があることで、雨漏りや屋根、壁などの塗装など計画外の出費はかさみます。
賃貸なら、賃料だけを心配すればよいのでその他にかかる生活費をうまくコントロールできます。
老後に家を持たない場合の4つのデメリット
賃貸はあくまで賃貸です。
持ち家ではないので、入居を続ける限り賃料を払い続けなければなりません。
また、借り手と借主の間での契約ですからいつ契約を解約されるかも分かりません。
賃貸は賃料を払い続ければ、10年、20年と住み続けられますが確実な保証はありません。
大まかに述べると次のようなデメリットがあります。
① 賃料を払い続けなければならない
賃貸に住み続けるには、毎月の賃料を払い続けなければなりません。
また、契約更改が周期的に行われるために新たな賃料や敷金が必要になることもあります。
さらに契約更改など面倒な交渉事が負担が増えます。
② 賃貸は内装や設備を自由に選べない
賃貸物件は、原則的に住まいとしていた住居を退去するときには原状回復の義務があります。
そのために部屋の模様替えの内装やバリアフリーしたくても貸主の許可がなければ簡単に行うことはできません。
賃貸の住居が古くなっても我慢を強いられることもあります。
③ ペットを自由に飼えない
犬や猫といったペットが大好きな入居者であっても、家主の許可がなければ無闇にペットなどを部屋の中や外で飼うことはできません。
ペットを賃貸で飼うことは、周りに迷惑がかかることで敬遠されがちです。
④ 高齢者は契約更新を躊躇される
高齢者、特に高齢の単身者は、契約更新などあらたな契約を交わすのを家主から躊躇されるケースも増えてきています。
病気や孤独死など万が一に備えての委任契約などを結ぶ必要もあります。
まとめ
老後の住まい選びは、賃貸住宅と持ち家それぞれにメリット、デメリットがあるために、こうでなければならないという明確な答えは出しづらい問題です。
賃貸住宅にするか。持ち家にするかについては、それぞれが自分の意志で優先順位を明らかにし、自分に合った暮らし方はどのようなものかよく考えてから結論を出しましょう。